母は、昨年4月に脳梗塞になってから、車の運転をしなくなりました。
本人はまだ運転したいようでしたが、
とっさの判断が難しい事、
足の動きが以前より少しだけ鈍くなった事
などがあったため、家族が反対しました。
それでも、まだ76歳という年齢や、田舎で車の運転ができないことの不自由さを考えるとかわいそうで、免許の更新をしてはいけないとはっきりいう事ができず、最終的には母本人が自分で判断しました。
一年かけて、本人が納得して返納するまでの過程をお話しします。
脳梗塞から一年後に免許の更新が・・・どうするべきか迷う
脳梗塞になったのは2021年4月、高次脳機能障害と右半身の軽い麻痺
軽い麻痺と言っても退院後すぐに包丁で野菜を切ったりしていたのでとても軽い方だと思います。
右足も歩行には問題ないですが、以前と比べると少しだけ弱いという程度・・・
しかし、椅子に座っているところから立ち上がり一歩前に足を出そうとするとなんだかうまく足が出ない
なので、立ち上がった直後は転んでしまいそうな様子でした。
高次脳機能障害は、初めは忘れっぽかったり家電の使い方を忘れてしまったりしていましたが、だんだんと使えるようになり、パッパといろんなことはこなせませんが、少しずつなら簡単な家事はできるようになりました。
しかし、言葉が出てこなかったり、忘れっぽかったり、言われた事を理解しにくかったりは今も残っている感じです。
周りから見ると、脳梗塞になった事を知っている人が見ればいくらかわかるけれど、だいぶ良くなったねと言ってもらえるレベル・・・
もしかしたら、田舎暮らしで家族がいない人ならきっと車の運転は続けていただろうと思います。
そのくらい、微妙なレベルでした。
もしかしたら、家族が止めずに車の運転を続けていたら、だんだん以前のように運転できるようになっていたのかもしれません。
なので、免許の更新については私はとても悩みました。
脳梗塞から約1年後に更新
本人は1年経てば良くなっていてきっと運転はできると思っていました。
しかし半年前に更新前の手続きのハガキが届き・・・
更新の手続きだけはしておいて運転しなければいいかな?
でも、更新してしまったら乗りたくなるだろうな?
乗っていて事故でも起こしたらどうしよう・・・
本人だけの問題じゃないな
どうしたらいいんだろう・・・
もしも自分だったら?と色々考えました。
高齢者の自動車運転免許の更新するには
運転免許の更新は70歳を過ぎると高齢者講習を受けなければいけません。
こちらは警視庁の高齢者講習のページです。➡️高齢者講習(70歳から74歳までの方の免許更新)
また、満75歳以上になると判断力・記憶力を検査する認知機能検査と、一定の違反行為がある方は運転技能検査を受けることとなります。
75歳以上の方は認知機能検査と高齢者講習(75歳以上の方の免許更新)が必要になります。
こちらは警視庁の認知機能検査と高齢者講習(75歳以上の方の免許更新)のページを確認してください。
そしてさらに令和2年改正道路交通法により、高齢者の運転免許証の更新等の手続において、新たに運転技能検査が導入されることとなりました。
75歳以上で、一定の違反歴(下記を参照)がある方については、運転技能検査に合格しなければ、運転免許証の更新を受けることができなくなります。(令和4年10月12日以後に75歳以上の誕生日を迎える方から対象となります。)。
警察庁の運転技能検査について(令和4年5月13日以降)のページを確認してください。
一定の違反歴とは
運転免許証の更新を受けようとする場合、運転免許証の有効期間が満了する日の直前の誕生日の160日前の日(やむを得ない理由で同日より前に更新(期間前更新)を申請する場合は、その申請日)前3年間に、大型自動車、中型自動車、準中型自動車又は普通自動車の運転に関して以下の違反行為を行った方が対象となります。
信号無視/通行区分違反/通行帯違反等/速度超過/横断等禁止違反/踏切不停止等・遮断踏切立入り/交差点右左折方法違反等/交差点安全進行義務違反等/横断歩行者等妨害等/安全運転義務違反/携帯電話使用等
検査内容は
となります。
70歳を過ぎると運転免許の更新に少しずつハードルが上がっていきます。
「家族は何も言わなかったの?」と言われても・・・
近年では高齢者の事故が問題になっていますね
いつかは自分も高齢者になってしまいます。
その前に親が高齢者になるのですが、家族も「危ないな」と思っていても、それを伝えてもいくら言っても聞いてくれない親御さんも多いです。
なので親の運転をやめさせるのを家族の力だけでは難しいことも多いです。
なので、こういった制度でハードルを上げて自主的に返納したいと思ってもらえるようにしてもらえると助かることもあります。
でも、いつかは自分も同じ立場になるのですから「運転しないで」と伝えるのは本当に心苦しかったです。
母の場合は、最終的に自分で「もう運転しないにする」「更新しない」と言ってくれたので助かりました。
母に納得してもらうために話したこと
退院したばかりの頃は、家族全員が車の運転に反対したため自分でも納得して運転しませんでしたが、更新までには一年あるのでそれまでには運転できるようになると思っていた母
その間、時々車の助手席に乗せながら
「どう?自分で運転するのに全然問題ないと思う?」
「とっさに判断できそう?」
などと聞いてみたりしていましたが、母はじぶんでは「そうね」と問題なさそうに答えていました。
脳梗塞の症状が出てきた時もそうでしたが、自分では前の自分とどこが違っているのかわからないようで高次脳機能障害になっていることも自分ではわからないようでした。
なので、運転も自分では問題ないと思っていたようです。
それでも、はっきり「免許の更新をしてはダメ」とは言えず
「すぐに乗らなくても免許の更新だけしておくという事もできるけど、私は免許の更新をすることは賛成はできないよ」
「免許の更新をしたいと思うなら、教習所に予約を入れたり手続きくらいは自分でやりな」
「車を運転しようと思うのだから、そのくらいはできないとね」
と言ってそのまま様子を見ました。
しばらくすると、まだ更新までの期間は残っていましたが自分から「更新しないにしようと思う」と友達に話すようになりました。
そう言っているのを聞いても「そう?決心したの?」なんてすぐには言えず
誕生日近くになって、「どうするの?本当にいいの?」と聞くと、母も「いいよ」と言うようになりました。
そして誕生日が過ぎ、更新期限まであと10日という頃に警察署に行き免許の返納の手続きに行きました。
運転免許返納の手続き
運転免許の自主返納の手続きをするには、各都道府県の免許センターか近くの警察署など、普段免許の更新をしているところでできます。
自主返納には料金はかかりませんが、免許証に代わって身分証明書となる「運転経歴証明書」というものを作ってもらうには手数料がかかります。
運転経歴証明書は、理由があって運転免許証を自主的に返納された方や運転免許証の有効期限が切れてから5年以内の方の申請により、運転経歴証明書が交付される制度です。
この運転経歴証明書は、運転免許証と同じサイズで、住所、氏名、生年月日、自主返納を受理された日などが記載され、身分証明書(平成24年4月1日以降交付されたもの)として生涯使うことができるものです。
運転経歴証明書は、自動車などを運転することはできませんが、公的な身分証明書として利用できるほか、提示することで、料金の割引などのサービスを受けられることがあります。
手続に必要なものは、
- 運転免許証
- 交付手数料 1,100円
- 申請用写真1枚
- 返納する免許証の住所に変更がある方は、住民票、マイナンバーカード(マイナンバーの通知カードは不可)、変更後の住所が記載された保険証、、外国籍の方は在留カードなど、住所を確認できる証明書類いずれか1つです。
料金割引のサービスは各都道府県や市町村によっても違うと思いますが、
⚫︎バス・タクシーなどの運賃割引
⚫︎提携している宿泊施設やレジャー施設等の割引
などがあります。
お住まいの都道府県のサイトを検索すると詳しくわかります。
一般社団法人全日本指定自動車教習所協会連合会「高齢運転者支援サイト」からも検索できます。
自主返納について迷っている方は、
政府広報オンラインの「運転が不安になってきたシニアドライバーやそのご家族へ 運転免許証の「自主返納」について考えてみませんか?」のページを参考にしてみてください。
家族に返納してもらうには覚悟も必要
自主返納の方法や特典についてお話ししましたが、田舎暮らしで車が運転できないということは本当に不便です。
車は、行きたいところまで歩かずに荷物を持たずに移動ができるとても便利な乗り物です。
歩くことも若い頃よりも不自由になっているし、重いものを持って歩くのはもっと大変です。
田舎ではバスなどの交通手段もあまり無く、お店も遠くにしかなかったりします。
だからこそ、高齢だからこそ乗っていたいという気持ちでしょう。
なので、家族に「もう車を運転しないで」と言うのには、それなりのサポートが必要になることを家族も理解する・覚悟する必要があるのでしょうね。
離れて暮らすご両親など、サポートしてあげたくてもできない方も多いです。
なんとか高齢の方が運転免許を返納してしまっても住みやすい良い方法がどんどん出てきてくれるといいなと思います。
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