長女が産まれ初めてママになった私
子供が産まれたら誰でも良いお母さんになれると思っていたけれど、そうじゃなかった
もう22年近く前の話になるので、細かい部分は忘れてしまった事もあるけれど、当時自分で
「私って冷たい母親なのかな？」
とか
「母性本能が足りないのかな？」
とか思った記憶があるのです。
諸説あると思いますが、以前テレビで
「母乳を飲ませる事でお母さんもホルモンが出てお母さんになって行く」
みたいな情報を見た事があります。
少し検索してみると
母親が新生児と肌と肌を触れ合わせる瞬間に、母親の身体ではオキシトシンが急増します。
これは別名「愛情ホルモン」または「抱擁ホルモン」と呼ばれ、赤ちゃんが授乳中に母親の乳首に吸てつする度に放出されます。
と書いてありました。
長女は産まれて直ぐにNICU（新生児集中治療室）に入ってしまったので、1日3回の面会時間しか会う事が出来ず、母乳を吸わせる事ができませんでした。
私もあまり母乳が出ず、それでもなんとか出るようにしたくて、子供がいなくても3時間おきに目覚ましをかけて母乳を絞っていましたが、それでもほんの少し・・・
ビンの底を汚す程度しか出なくて・・・
そこからもうじっくり眠れない母親業に疲れ始めておりました。
助産師さんに、そんなに無理に絞るのをやめて、たっぷり寝てみたら？と言われましたが、母親らしい事が何もできない寂しさで無理にお母さんになろうとしていたように思います。
面会に行くと体にチューブがつながっていたり、体を温める為に裸で寝ていたりするため抱っこするには
「抱っこしてもいいですか？」
と看護婦さんに許可を取り、肌着を着せてもらい、抱っこする事ができました。
それがなんだか自分の子供じゃないみたいで・・・
NICUから退院してうちに連れて帰ると
急にいろいろやらなければいけない事
あまり赤ちゃんがミルクを飲まない心配
ゲップが出ずになかなか横になれなかった事
ゲップを諦めてそのまま寝せると噴水のようにミルクをもどしてしまった事
「まあいいか」ができなくて苦しくなって来て・・・
とにかく赤ちゃんのペースで時間が流れる事
いろんな不安
眠れなくて疲れ果て
心の底から「かわいい」と思えてない自分を客観的に感じて
赤ちゃんが「天使」じゃなくて「悪魔」に見えてしまった事もありました。
自分は母性が足りないんじゃないか
と考えてもいました。
これは言い訳になってしまうかもしれないけれど、
母乳を吸わせる事ができなかった
のが何か関係があったりするのかな？
その「オキシトシン」という愛情ホルモンとも言われる成分が出なかったから？
なんて
自分の都合の良いように解釈しておりますが・・・
でも、あの頃本当に自分に母性が足りないのでは？と思ったのは事実です。
そんな私が、長女が先天性白内障だと分かった途端に母性のスイッチがバチっと入ったのを自分で感じました。
「この子を守らなきゃ」
それが私を母親にしてくれる出来事になりました。
よく、ハンデキャップがある子は親を選んでやってくると聞いた事があります。
なんとなくわかる気がします。
少しだけハンデを持って産まれて来た長女は、私にとって必要な存在だったんだと思います。
長女が産まれてから、良くも悪くも180度生活が変わりました。
マイペースで生きて来た私が、赤ちゃんに振り回されて生きるようになった事
自分をこんなにも必要としてくれる存在があるという幸せ
守るべきものがあるという事
そして長女のお陰で「人の痛み」を今までよりも感じる事ができるようになったような気がします。
それから人に感謝する事ができるようになったとか
人のせいではなくて自分のためにと思えるようになった事
いろんな意味で人間として成長させてもらい、見える景色が変わりました。
それは長女と出会ったからではなくて
長女にハンデがあったから
だからこそ景色が変わったのです。
長女に病気がわかってから数年間は苦しくて苦しくて
どうして私達ばかり・・・とか
もう一度この子をお腹の中に戻して、健康な体にして産み直したいとか
いろんな事を考えましたが、
その苦しかった数年間のお陰で考え方を変える事ができたのだと思います。
本当は苦しさから自分を守るために生まれた発想でしたが、それが景色を変えてくれたのです。
だから、長女の病気のおかげなのだと思います。
それでもまだまだ未熟者で、もっと直さなくちゃいけないところはたくさんあるのですが、これからも長女にも次女にも助けられ、私を成長させてもらいたいと思います。
子供に教えられる事はたくさんあります。
どうぞこんな母親ですが、これからもよろしくお願いします。
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